[東京 19日 ロイター] 東京製鉄<5423.T>は19日、2011年3月期の営業利益予想を約8割引き下げた。急激な円高で民間設備投資が冷え込み、通期の販売数量が従来予想を下回る見通しとなったほか、鉄スクラップの値上がりで上期のメタルスプレッドが悪化したことなどが要因。
修正後の営業利益予想は10億円で、トムソン?ロイター?エスティメーツによる主要アナリスト12人の予測平均値53億円を下回った。
通期の売上高については、7月公表の1870億円を1610億円に下方修正した。阪部英二常務は会見で「世界の鋼材需要は引き続き底堅いが、中国で不動産取引規制が継続していることや、急激な円高で国内の民間設備投資が冷え込んでいる影響で、製品販売数量の回復が当初予想より緩やかになる見通しとなった」と語った。販売数量は当初、上期120万トン、下期160万トンの計280万トンを見込んでいたが、上期実績113万トン、下期130万トンの計243万トンに修正した。
原料となる鉄スクラップが上期に製品価格の上昇を上回るペースで値上がりした影響も響く。阪部常務によると、上期のスクラップ価格は3万5500円、平均出荷単価(販売価格)は6万9800円となり、メタルスプレッドは従来予想に比べ約1000円悪化した。下期のスプレッドは「上期よりさらに700─800円程度悪化する見通し」(同常務)。下期の前提はスクラップ価格が足元の2万9500円、販売価格が6万3000円。
同社は18日、円高の影響で国内の鋼材価格が国際価格に比べ割高となったため、内外価格差是正に向け、11月契約の鋼材店売り価格を全品種値下げすると発表した。
<4―9月期営業損益は赤字に>
東京製鉄の4―9月期の営業損益は、前年同期の32億9400万円の黒字から15億1600万円の赤字に転落した。スプレッドの悪化に加え、7─9月期の田原工場の生産数量が当初予想を大幅に下回り、固定費負担を吸収できなかったため。9月にスクラップ価格が下落に転じ、上期末に在庫の評価損を計上したこともあり、当期損益は24億8500万円の赤字となった。
田原工場については、期初に上期10万トン、下期40万トン、計50万トンの生産を見込んでいたが、上期実績は4万トン、下期は20万トンに下方修正した。阪部常務によると、同工場の減価償却費の増加により、同社の通期減価償却費は当初予想を5億円上回る150億円となり、設備投資額も同5億円増の165億円となる見通し。設備投資については上期実績が143億円で「既に通期計画の大半を使った」(同常務)という。
(ロイター日本語ニュース 大林優香記者)
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引用元:アイオン rmt
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12 年前